世界は,もともとデジタルでも,アナログでもない,のかもしれない。ただ,それをどう受け取ろうとするか,選べる自分がいる。
quote:わたしたちの思考がデジタルではなくアナログであるという記事に,たくさんの面白い手紙が寄せられた。×世界はアナログではなくデジタルである。実際のところ,アナログテープをみても,そのデータ格納法はデジタルである。スティーブン・ノックス。×わたしには,心が連続的にアナログ的に動作するのは当然のように思う。それはスパイベイ博士がわたしたちの思考を脳(brain)ではなく,心(mind)と表す理由である。しかし,わたしはアナログという言葉が常にほかのなんらかの模倣(アナログ)によって成り立っていることを指摘しなければいけない。アレックス・ドゥビンスキー。
人間自体がアナログであるか,デジタルであるか,と訊かれたら,わたしはデジタルであると答えるだろう。もちろん,それが正しいとすぐに立証することはできない。頭のなかにある記憶は,必ずすぐに呼び出すことはできず,なにかの拍子にふいに表に出てくることもある。本当にデジタルであれば,そんな不確実性はない,はずだ。ひたすら眠り続けて,ある日急によみがえってくる思考もある。良い,悪い,の判断は,ひとつひとつの判断によって導き出されるのではなく,一時の気持ちや,ふいの心持ちによることがあるのも,認めてしまう。つまり,最終的な判断はアナログ的な思考に,寄っている。
だが現在では,すべてはデジタル化しているように,整理されていく。さまざまなテキストはデジタルでハードディスクに詰め込まれていき,検索によって導き出される。書籍のページもすべてスキャンされ,ビューアーでめくられていく。もちろん検索によってデータがピックアップされることはないが,すべてのページは画像処理によって修正され,よりみやすく保管されていく。受け取り方としても,デジタルとして頭に詰め込んでいく。世界を,デジタルとして処理したいわたし自身がいることに,気付く。ネットワークの普及は,データのデジタル化を加速しているように思う。それに合わせて,世界をデジタルとして処理しようとしている自分が,いるのだ。
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